スティービーが消えた日
日本武道館からスティービー・ワンダーが消えた日
大好きだったスティービー・ワンダー。
来日公演のチケットが運良く手に入ったので、わくわくしながら武道館へ。
武道館の中央に仕立てられたステージを、かなり高いところから見下ろす。
コンサートはクライマックスとなり、会場全体にグルーブが回りはじめた。
何度も何度も繰り返されるリフ、それに合わせて揺れるオーディエンス。
気がつくと、奏者が一人消え、二人消え。
最後にはスティービーまで消えてしまった。
あっけにとられる会場、そして強制的にコンサート終了をお知らせする照明の点灯。
目の前で演奏していたはずの音は、実はサンプリングのループの音だったんだ。
いろんな意味で記憶に残るコンサートだったな。
ストライプとボーダー
ねぇ、
ストライプとボーダー
なにが違うんだっけ?
横のしましまがボーダーで
縦のしましまがストライプ?
じゃあ、しましまは縦? 横?
しまうまは縦も横もあるんだよ
バイカーなのか、ライダーなのか
オートバイに乗る人のことを
「ライダー」
と呼んだり、
「バイカー」
と呼んだりする。
ライダーとバイカーの違いってなんだろう?
「後戻りできないヤツがバイカーなのさ」
“バイカー” を自認する彼は、そう言った。
ロン毛もヒゲも、切ればいい。剃ればいい。
だけど、ピアスにタトゥは自分にコミットしないと出来ないでしょう、って。
だけどさ、身体に刻み込まなくても、結局、バイクは楽しい、
バイクは気持ちいい、のにね。
ロックな君はいなかった
バイト先にいた君は、社内で浮きまくってた。
まっ金金なロングヘアが許されていたのは、夢に向かって働きまくる君の姿を叩き上げの社長が認めていたからだった。
ある日、ライブがあるから見に来てよと誘ってくれた君。
先払いでチケットを買い、出番の時間に合わせてライブハウスに赴いたのだけど。
出演するはずのバンド名は入口のボードにはなかったし、
中で演奏していたバンドは、君が言ってた音楽ジャンルとはまるであさっての方向性だったんだよね。
君はそこにはいなかった。
強制的に買わされるワンドリンク500円のコーラを飲んで、そそくさと駅に向かった。
気まずい雰囲気のまま、バイト先で言葉を交わすこともなく、君はいつの間にかいなくなったんだ。