Kommonうでわ

ひと粒ひと粒が愛おしい、ビーズの世界。

水晶が生える

「山に行くと水晶が地面から生えてるんだよ」

 

幼かったわたしに父は言いました。

 

「水晶は石だから、草や木みたいに生えてくるわけないよ」

 

そう言い返したわたしを、父は山に連れて行きました。

 

小さな花々やキノコは生えてるけれど。

 

いろんな色の落ち葉や小石は落ちているけれど。

 

見渡す限りうっそうとした森の中に水晶があるだなんて思えませんでした。

 

「ほら! ここ!」

 

草木を分け入ってった父が呼びました。

 

そこには、見事に地面から六角柱の水晶が

 

“生えて”

 

いたのでした。