ロックな君はいなかった
バイト先にいた君は、社内で浮きまくってた。
まっ金金なロングヘアが許されていたのは、夢に向かって働きまくる君の姿を叩き上げの社長が認めていたからだった。
ある日、ライブがあるから見に来てよと誘ってくれた君。
先払いでチケットを買い、出番の時間に合わせてライブハウスに赴いたのだけど。
出演するはずのバンド名は入口のボードにはなかったし、
中で演奏していたバンドは、君が言ってた音楽ジャンルとはまるであさっての方向性だったんだよね。
君はそこにはいなかった。
強制的に買わされるワンドリンク500円のコーラを飲んで、そそくさと駅に向かった。
気まずい雰囲気のまま、バイト先で言葉を交わすこともなく、君はいつの間にかいなくなったんだ。