雑木林や広大な造成地が広がるベッドタウンで育ったので、子どもの頃は昆虫採集の楽しみが尽きなかった。
図鑑でアタマに叩き込んだ昆虫の種類と名前。
どの虫も珍しいとは思えないほど自然があふれていた。
ある日、テレビで
「ゼツメツキグシュ、オオムラサキ」
とニュースになっているの見て、初めて“絶滅危惧種”という言葉を覚えたし、実感が沸かなかった。
だって、オオムラサキはそこいらじゅうにいたんだもの。
数年のちにはオオムラサキを見かけることがなくなり、蝶が飛んでいる姿を見かけるだけでなんだかわくわく心が和むような、そんな珍しい光景になってしまったな。